子供のころから特に絵画や写真に憧憬があったわけではありません。学習ノートに落書きなどしたら裏拳が飛んできましたから、絵を描くのは専ら新聞広告の裏でした。中学の頃、構成やデッサンは面白いのに色を塗ったら散々で美術教師から「お前は色を塗らんでもいい」と言われたこともありました。
高校生のころ、朝日新聞日曜版に「世界名画の旅」が連載されるようになり、絵を見ることに興味を覚えるようになりました。安来の足立美術館で横山大観に圧倒されたのはそのころでした。
その後さまざまな絵画や写真をむさぼるように見て、現在に至っています。
地球の写真展。ひとことで表すなら、それ以外に表現しようがない。人間の築いた文化、そして文明さえも彼の写真の前では小さく思えてしまう。
延々と続くアラスカの雪山。生き物など住めないかと思うのに・・・
一刀彫のおぼんの上に白い胡麻が散らばっている。よく見ると氷河に削られた溶岩の上を移動する何千頭、いや何万頭というカリブ−の群れだった。
水平線にのろしのように立ち上る雲の上にきのこの傘のような雲。極地方でしか見られない。そしてそのまん中に一頭のカリブ−が。なぜ星野道夫だけがこのような状況に遭遇できるのだろうか。まるで地球が彼を欲しているかのようにさえ思える。
彼の前では、あの狂暴なシロクマでさえ微笑んでいるようにさえみえる。
赤。彼のとらえる赤は鮮やかだ。ベリーに花、そして今食べられたばかりのヘラジカの肉の赤でさえ、彼の手になると美しくさえ思える。
夕日に映える鯨のしっぽ。あの光一つ一つの輪はいったいなんなのだろう。
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